父親がハゲだと子供もハゲる!?薄毛(AGA)と遺伝子の関係とは?
あなたの家族や親族に薄毛の方はいませんか?
父親がハゲているから、きっと自分もハゲる(泣)
と、子供の頃から恐怖を感じている方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、これを読んでいただけると、必ずしもそうではないということが分かると思います。
- 薄毛(AGA)は遺伝するのか?
- 薄毛の遺伝子とは?
- 兄弟はハゲていないのにどうして自分はハゲているのか?
- なぜ父親と同じハゲ方をするのか?
- AGAリスクを調べる方法
- AGAの遺伝による影響は絶対なのか?
- 絶対にハゲない方法
薄毛(AGA)は遺伝するのか?
薄毛が遺伝するのかと聞かれると、遺伝する可能性があると答えるのが正解であると思います。
そうです。
「遺伝する」のではなく、「遺伝する可能性がある」のです。
しかも、それは主に父親からではなく、母親からなのです。
という訳で、父親がハゲているからといって「自分もハゲてしまう!」と悲観するのは、まだ早いのです。
薄毛の遺伝子とは?
男性ホルモンであるテストステロンは精巣内で生成され、5αリダクターゼと結合することで、AGAの原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)へと変換されます。
そのDHTの影響を受けやすいかどうかを決めるのが、アンドロゲンレセプター(男性ホルモン受容体)と呼ばれる遺伝子なのです。
これは毛乳頭に存在し、その感受性が高いと、DHTが作用することで、脱毛やヘアサイクルを短縮させてしまいます。
アンドロゲンレセプターはX染色体にのみ存在するため、その影響を受けるということになるわけですが、人間の性別は、学校の授業で習った通り、男性はXY型、女性はXX型というふうに、X染色体とY染色体との組み合わせで決まります。
つまり、父親のY染色体と母親のX染色体を受け継ぐと男性となり、父親のX染色体と母親のX染色体を受け継ぐと女性となります。
そのため、男性は必然的に母親のX染色体を受け継ぐこととなります。
逆に言うと、あなたが男性の場合、父方のX染色体を受け継ぐことはありませんので、
父親がハゲていても、あまり関係ない
ということになります。
兄弟はハゲていないのにどうして自分はハゲているのか?
分かりやすいように、説明すると、例えば、あなたが兄、自分、弟の三兄弟だと仮定して、兄と弟はハゲていないのに、自分だけハゲているとします。
母親がAGAリスクの高いX染色体を母方の祖父から、そして、リスクの低いX染色体を祖母から受け継いでいた場合、母親は両方の特徴のあるX染色体を持つ、XX型となります。
三兄弟は、父親からはY染色体しか受け継ぎませんが、母親からは高リスクか低リスクのどちらかのX染色体を受け継ぐこととなります。
結果、兄と弟は低リスクのX染色体を受け継ぎ、あなたは高リスクのX染色体を受け継ぐことで、AGAを発症させる可能性が非常に高くなってしまう訳です。
ハゲは母方からの隔世遺伝なのです。
※赤のX染色体が高リスク
ご理解いただけたでしょうか。
でも、父親からはAGAリスクの高い遺伝子は受け継がないはずなのに、父親と同じハゲ方をしている人って多いですよね?
なぜ父親と同じハゲ方をするのか?
父親がハゲ薄毛は遺伝しないにも関わらず、「自分は父親と同じハゲ方をしている!」という方は多いと思います。
それは、なぜなのでしょうか?
アンドロゲンレセプターは、あくまでもDHTの影響を受けやすいかどうかを決める遺伝子なので、それ以外の要素である、5αリダクターゼが分泌されやすい体質であったり、髪質や血行の悪くなりやすい箇所(薄くなりやすい箇所)、または、現時点では発見されていない、アンドロゲンレセプター以外のAGA要素を受け継いでいると考えられます。
発見されていないものに対して語ることはできませんので、その他のAGA要素については置いておいて、そういう方が、母方からDHTの影響を受けやすい遺伝子を受け継いだ場合、薄くなる場所が父親と似るということになるのです。
特に5αリダクターゼが分泌されやすい場合は、DHTの生産量も増えるので、必然的にハゲやすくなりますが、そのかわり、プロペシアなどの5αリダクターゼを抑制する効果のある薬剤が効きやすいということもできます。
そういう意味合いでは、父親の遺伝子の影響も受ける訳ですが、アンドロゲンレセプターの感受性が低い場合は5αリダクターゼの分泌が多くても、あまり抜け毛は増えません。
他にも、アンドロゲンレセプターの感受性は母親から受け継ぐにしても、毛乳頭に存在する、それらの配置情報(DHTの影響を受けやすい位置情報)は父親から受け継いでいるということもあるかもしれません。
最悪のケースは、アンドロゲンレセプターの感受性が高く、5αリダクターゼが分泌されやすい遺伝子を保有し、尚且つ生活習慣に乱れがあるというケースです。
このケースでは、思春期以降のかなり早い段階で髪が薄くなりはじめ、
桜のごとく、あっという間に舞い散ることでしょう。
恐ろしいですね・・・。
ちなみに5αリダクターゼの分泌が活性化しやすい遺伝子は、優性遺伝となりますので、父親か母親が、この遺伝子を保有している場合には、比較的高い確率で受け継ぐこととなります。
では、自身のAGAリスクを知る手段はあるのでしょうか。
AGAリスクを調べる方法
ここまでの話しから、気になるのは自分がAGAリスクの高い遺伝子を受け継いでいるかどうかということだと思います。
AGAリスクを調べる方法は、AGA専門のクリニックで遺伝子検査を受けるか、自身でAGA遺伝子検査キットを取り寄せるというのが一般的です。
これにより、AGAリスクだけでなく、フィナステリド(プロペシアなど)がどの程度効きやすいかということまで分かります。
ちなみに、どこで調べても結果が異なるものではないので、値段の安い自宅検査がオススメです。
詳しくは過去記事:〈もう受けた?AGA遺伝子検査とは?〉
AGAの遺伝による影響は絶対なのか?
果たして、AGAリスクが高いと判明した場合、その影響はリンゴが地面に落ちるように、絶対的な影響力があるのでしょうか。
必ずしも、そういう訳ではありません。
仮にAGAリスクの高い遺伝子を受け継いでしまった場合でも、それらによる影響は約70~80%と言われています。
これを高いと考えるか低いと考えるかは、それぞれ違うと思いますが、100%ではなく、4人に1人程度は影響を受けずに済むというのは、かなり大きいと思います。
それらの人々が影響を受けずに済むのは、
生活習慣では
- タバコを吸わない
- あまり酒を飲まない
- 適度な有酸素運動をしている
- バランスの良い食生活をしている
- 質の良い睡眠をとっている
- ストレスを溜めない
体質では
- 栄養の吸収率が高い
- 血流が良い
- 毛細血管が丈夫
- ストレスが溜まりづらい
細胞レベルで、根本的にAGAが発症しない原因が他にもあるのかもしれませんが、これらの理由が主であると考えることができます。
どちらにせよ、体質は簡単に変えることはできませんので、生活習慣の見直しが大切になってきます。
絶対にハゲない方法
人類の長い歴史の中では、絶対にハゲない方法というのがあります。
宦官にハゲはいないという話しをご存知でしょうか。
宦官とは昔の中国で皇帝のお世話をしていた人々ですが、その最大の特徴は、皆、去勢された男子という点です。
冒頭で述べた通り、男性ホルモンであるテストステロンは、主に精巣内でつくられますので、去勢することにより、その大元を断ってしまえば体内でDHTを生成することがほとんどできなくなってしまいます。
薄毛の直接の原因であるDHTがなければ、当然ですが薄毛が進行することもありません。
宦官にハゲがいなかったことは有名ですが、実は、それが『去勢するとハゲない』という仮説の元となり、後にアメリカのジョージ・ハミルトンが1942年に囚人を使い、臨床実験を行うことで、その仮説を証明したのです。
その実験は『ハミルトンの実験』と呼ばれ、DHTの存在が明らかになるきっかけとなった訳です。
つまり、絶対にハゲないためには
去勢すれば良い
ということになります。
ハゲないのは良いとしても、
究極の諸刃の剣ですね(^_^;)
現実的でなくてスミマセン・・・。
それはともかく、AGAはなるべく早い段階で医師に相談し、適切な治療を受けることが大切です。